川浦谷上流

 険悪で知られる川浦谷も川浦谷林道(営林署の巡視道)が並走しているので、無理だと思った時は巻けば、さほど難しくない。しかし危険か否か、自分の実力で通過可能か否かの判断力を要する点で、高度な谷といえる。

● 秩父橋~シアン谷出合~思案谷橋

 川浦谷と烏帽子谷の二俣で、秩父林道が「秩父橋」で川浦谷を渡っている。烏帽子谷はコンクリートでガチガチに固められ無残な姿をさらしている。
 はじめ川浦谷の右岸踏跡を行くが、シアン谷直前で大岩に阻まれ、沢装備を装着する。2~3の小滝を越えてシアン谷を迎える。
 この先の七ツ滝のゴルジュを巻くため支沢のシアン谷を詰める。水量はやや少なく、数メートルの滝が適度に掛かり、快適だ。直登できそうな滝も、水の冷たさに負けて巻いた。9月とはいえ暑い日でも、別天地のようだ。傾斜が緩いところは、美しい谷の緑を眺めながら進む。
 5M直瀑は、右の倒木の枝を梯子に越える。
 約20分で谷がやや広くなり、見事な10MのCS滝が苔むした大岩の間から真っ直ぐ落ちている。右手の泥壁、左手の黒い岩壁のどちらも行けそうだが、シアン谷から下流側の川浦谷林道は荒廃が酷いらしいので、上流側の黒い岩壁を、小さいホールドを拾いながら上がった。後日聞くところ、この岩壁が崩壊し、現在登攀不能とのことである。その場合、シアン谷右岸尾根の踏跡が使える。
 上に植林が見えたので、そのまま登り詰め林道に出た。

 

⌚ฺ  秩父橋-(10分)-シアン谷出合-(40分)-思案谷橋(川浦谷林道) [2012.9.9]

●七ツ滝のゴルジュ上~小黒ノ沢(ワサビ沢)出合

 ゴルジュを巻くためシアン谷右岸尾根を登って一度川浦谷林道に出て、地形図の830M圏、谷が左カーブを終え、ちょうど南東方向の直線になる部分に下降した。
 2M、2条4M、2Mと小3連瀑を越えるとインゼル、簡単そうな左から登り、2条6Mの美しい斜滝を右から交わして登ると、すぐに右から小黒ノ沢が、3段8M滝で落ちてくる。静流の本流との流量比較が難しいが、2:1位かもしれない。

 

⌚ฺ  七ツ滝のゴルジュ上-(10分)-小黒ノ沢出合 [2013.7.26]

●1040M圏幕営地~牛首

 前記小黒ノ沢出合からは、平流とちょっとしたゴルジュとを抜けるというが、この区間は林道を歩いて1040M圏に至った。
 幕営地の上流で谷は再び狭まり、大岩の間から落ちる数メートルの滝が続く。左岸の岩壁を通過し、植林地に高巻き高度を稼ぐ。自然林にトラバース気味に抜けていくと、12M直瀑が見えたので、そのままトラバースを続ける。さらに1080M圏二俣の右俣(本流)の15M滝が見えてきたので、左俣に入るため、小尾根と窪を使って、いったん二俣に下降した。
 牛首へ向かう左俣は、右俣(本流)とほぼ同じ長さを持ち、ガイドによってはこちらが本流とされている。渓相は穏やかな癒し系の谷で、小ぶりな滝を掛けながら、原始の森を上がって行く。
 すぐに源流の様相となり、1220M圏二俣を過ぎてすぐ、靴を濡らさぬ水量となったため、沢装備を解除した。細流に沿って、登山靴でひたすら谷を詰めて行く。
 途中で道の痕跡にも見える地形があったが、気のせいとも思えるほど微かなため、気に留めずに通過した。後日、川浦谷林道を牛首まで詰めたが、やはりそれは道だったと分かった。驚くほどの荒廃ぶりである。
 稜線がすぐ左手に見えてくるころ、再び川浦谷林道の痕跡の踏跡が現れる。適当に拾いながら、稜線のタルミに登りあげる。小さなブリキのプレートがある牛首だ。
 

⌚ฺ  1040M圏-(1時間20分)-牛首 [2012.9.9]
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シアン谷出合
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シアン谷は軽快な滝が続く
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水が冷たく直登を諦める
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巻きからシアン谷10M滝を見下ろす
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七ツ滝のゴルジュ出口から下を覗く
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ゴルジュ直後の2M+2条4M
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2条6M斜滝
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1040M圏の左岸幕営地
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12M滝手前の小ゴルジュの滝
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美しい1080M圏二俣上の15M滝
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癒し系の左俣
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岩で埋まった詰め