寄国土・明ヶ指道【仕事径】
新秩父線67~72号を順に辿る電源巡視道。始めフナイド尾根を登り、大反道に絡みながらクタシノクビレで矢岳山稜を越え、事上沢を渡ってから矢岳山稜の支尾根を越え明ヶ指に下る変化に富んだルートである。
● 寄国土(ユスクド)登山口~クタシノクビレ
大久保橋西詰の少し北の、新秩父線67号・奥秩父線7号を示す黄色い東電標柱が、寄国土集落水没後の、現在の登山口になる。フナイド尾根を登る道は電源巡視道を兼ねるため、標柱が点在していて分かりやすい。植林された尾根の左手を、折り返しながら登っていく。奥秩父線7号鉄塔を右手の樹間に見送り、新秩父線67号鉄塔を真下を通る。尾根が緩むと、かつて一軒家があった花園集落跡と思しき平坦地で、現在は作業小屋が一棟建っている。68号鉄塔分岐を過ぎ、広がった尾根筋が明瞭になるころ、右手の自然林へのトラバースを指示する東電標柱が見つかる。ここが大反道との交差点である。
道は四百米ほど水平に大反道を辿り、そこで踏跡は大反道を離れ、登り坂になって奥秩父線69号鉄塔に達する。矢岳山稜登山道を数分下るとクタシノクビレである。
● クタシノクビレ~明ヶ指(ミョウガサス)
右後方から来て左前方に稜線をまたぐ大反道に入る。この旧道は、クタシノクビレより北だけが今でも登山道扱いされているようだ。70号鉄塔脇を過ぎ、大反山西尾根に到達すると、有難いことに目的の尾根上に、71号鉄塔を指し示す黄色い東電標柱があった。
その巡視路に入ると、かなり荒れている。尾根の植林地はすぐ伐採跡になり、足の踏み場もない。巡視路の道筋も定かでない。とにかく地形で尾根筋を読みながら進む。71号鉄塔脇を過ぎると、尾根形状は丸くなり、植林地内の特徴のない斜面を下るようになる。踏跡はあるかないか分からないほど不明瞭になり、時々みつかる東電標柱だけが頼りだ。というより、それを頼って進むのではなく、地形を読んで進んだところに黄色い標柱があることを確認する、という感じだ。
事上沢の細い水流まで降りると、左岸に植林作業道らしき踏跡が見つかる。点在する黄色い標柱は、左岸道からすぐに左手の尾根への踏跡へ誘導している。この踏跡は、尾根上に辿りつく前に消えてしまうが、要は尾根上の72号鉄塔に進めばいい訳だ。まるでマーキングテープのように設置された標柱を横目に見ながら尾根上に這い上がると、稜線の西側に踏跡がある。それを追うと、ほどなく72号鉄塔だ。
その左の植林の急傾斜を、巡視道は下っているようだ。71号付近よりはましだが、相変わらず不安定な巡視道を追い、電光形に下ると、ようやく西沢の壊れた木橋に下りついた。この沢の左岸は林道終点になっていて、僅かに下ると出発点の明ヶ指の別荘地となる。