焼山・荒井道 【仕事径】

 丹沢山塊北端の道志・焼山は、青野原、青根、鳥屋三村の入会地であったため、今も山頂にそれぞれの祠がある。現在、青野原、鳥屋からの登山道と、青野原の西野々からは猪野窪沢左岸尾根の作業道もある。一方青根村からは、地形図に荒井から湯口沢を遡り右岸尾根に取り付く歩道が記入されるも、その道は実態がない。
 今回報告するのは、地形図の道とは異なる荒井から焼山山頂に通ずる作業道で、荒れてはいるがバリエーションルートに慣れた方なら通行できる道である。

● 荒井~湯口沢最終渡渉点(640m)

 荒井から湯口沢沿いに遡るこの区間は、大枠では地形図記載の通り沢の近くを行くのだが、つぶさに見るとかなり違っている。
 国道413号の湯口沢橋から、厳重に封鎖された旧道に入り、旧湯口沢橋の東詰でよく観察すると、橋の袂からすぐに右岸尾根を急登する踏跡に気がつく。入口に取り付くとすぐに良い道になり、小屋跡を見て、広い尾根を曖昧な道となり緩やかに登った。数分で鼻を回ると、尾根を離れ、水平な踏跡になった。赤杭やピンクテープがあるので、良い目印になった。山腹の崩れて踏跡が曖昧になるあたりで高度を上げてきた沢に追いつかれ、道は左岸に渡渉した(455m)。植林中にまずまず良い踏跡が続き、480mでまた右岸に渡り返した。作業道なので渡渉のたび目印があるではないが、道の雰囲気を見逃さぬよう注意した。境界見出し標と「水源の森林 神奈川県」の杭を見ると、右側の沢と道の間に段々の敷地が現れ、590mで左岸に渡った。トタン、ビールケース、ビニールの廃物からワサビ田跡とも推測されたが、実際何かは分からなかった。その先、左岸側にだんだんの敷地はなおも続いた。
 やがて伏流して水が枯れる辺りで、段々の敷地は終わった。635m二俣近くの植林中で踏跡は左右に分かれ、焼山へは左の道を取る。道はすぐ、水のない湯口沢を渡った。おそらく豪雨時の激流のためと思うが、渡沢部は激しく荒れて、対岸に続く道はほぼ分からなくなっていた。倒れて埋もれた「水源の森林」杭を、下から見て分かるよう立て掛けておいた。

 

⌚ฺ  荒井←(30分)←湯口沢最終渡渉点(640m) [2021.12.4](逆コース)

● 湯口沢最終渡渉点(640m)~焼山

 焼山へは、635m二俣に落ちる曖昧な支尾根に絡んで、幾多の九十九折れを連ねて登る道となる。初めは支尾根の右側山腹を、枝打ちで埋もれた道を見定めながら登るので、やや分かりにくかった。正道と作業踏跡も見分けにくかったが、正道には点々とピンクテープが続くことで判別できた。次には支尾根の左側を絡むようになったが、丸い尾根なのであまり意識することはなかった。795mの折返しで、顕著な作業道を右に分けた。825mに道が一瞬水平になる部分があり、境界見出し標が掛かっていた。ところどころヤブが掛かるも、歩くのに障害なほどではなかった。
 970mの辺りで、道は突然九十九折れの登りを止め、数分の間、緩い登りか水平に進み、西野々からくる猪野窪沢左岸尾根の作業道に合流した。道は観音沢(国土地理院図には「荒井沢」と誤記)源頭の急傾斜をトラバースで登るが、荊棘の中の倒木を捲くのに手こずる箇所があった。最後は尾根に出て、山頂から転がってきたらしい鋼製のゴミ籠を見ながら二、三の小さな九十九折れをこなすと、青根の祠脇を通り、展望塔の立つ焼山山頂に出た。

 

⌚ฺ  湯口沢最終渡渉点(640m)←(40分)←焼山 [2021.12.4](逆コース)