菜久保沢 【藪径・雪径】
鶴川右岸に腰掛付近で入る菜久保沢ルートについてネット検索すると幾つかの遡行記録が見られた。しかし直近の降水量によるとは思うが、水はチョロチョロ流れる程度で遡行対象とは考えられない状況であり、ふつうに登山靴で歩けたため、ここではパリエーション登山のルートとして記載した。水量次第では遡行ルートになることをご承知おき頂きたい。
●腰掛~雨降山・権現山中間の1226M小峰
腰掛集落の中を抜け鶴川に下ったところが、大群沢の出合である。右岸の植林を登る道は2~3分行くと曖昧になるが、複線化して幾筋かになった植林内の水平踏跡を辿って、大群沢の高みを行く。踏跡がほぼ消えて沢に降りるのが515m付近、沢を少し登った523mで右岸に出合うのが菜久保沢だ。登山関係では菜久保沢と呼ばれるが本来は杉菜久保というらしい。大群沢、菜久保沢とも訪問時点では遡行対象にはならないほど水量が少なかった。左岸に炭焼窯跡を見て沢沿いを適当に登ると、10分余りで小さいワサビ田跡が現れた。これを過ぎると次は通過に数分かかる大きなワサビ田跡、いずれも芽すらなく見事なまでにキレイさっぱりしているのは、鹿の食害ではなかろうか。見た感じ十数年以上放棄されているようだ。それ先もワサビ田適地が続くが、今度は田の跡がみられず、水害で埋まったのかもしれない。782m二股付近には、右俣、左股の両方に石垣が見事に残った大規模なワサビ田跡があった。本沢の右俣を少し登ると潰れた廃小屋があった。この辺りでワサビ田跡が終わり、僅かな水流も消えた。出合からすでに細い流れのこの沢が遡行対象とはつくづく信じられないが、雨期に入渓するとそれなりなのかも知れない。
このあとは植林地帯を稜線までひたすら登りあげることになる。稜線直下まで窪状に沿って登れば良い。ヤブもなく、地面が凍結気味で滑りやすいことを除けば、単なる体力勝負だった。1005mの水のない二股地形に昭和62年の植林標があり大きな杭が打たれていた。左を詰めれば雨降山近くに出るはずだが、ここはなおも右の本沢地形を詰めた。源頭の1226m小峰直前で凍土のなか傾斜がかなりきつくなったのでやや左に回り込み、トラバースする雨降山から権現山への登山道を横断してすぐ、1226m小峰に立った。「鍋割沢の嶺」と書いた板が木に括り付けられていた。初めて聞く山名である。鍋割沢の詰めは1245独標と思われこのピークは当たらないと思うが、どのような経緯でそのプレートが付けられたのだろうか。
⌚ฺ 腰掛-(15分・渡渉時間含む)-大群沢出合-(20分)-523m菜久保沢出合-(50分)-782m二股- (1時間)-1226m小峰 [2023.3.4]