桂谷アシ沢中間尾根 【藪径・雪径】

 雲取小屋下の大ダワへ登る最短ルート。幾つか10年ほど前のネット記録があるも、最近のが全然見当たらないのは何故か。近況としてあげておく。シカに食い尽くされたのか、全般に下生えが殆どなく尾根上の樹木も多くないハゲ山気味の尾根。なので下りでは幾つかある急傾斜ではそれなりに怖かった。あと二重山稜やら尾根が一時的に消えたり、下りでは地形にも要注意。

● 桂谷出合~大ダワ

 大洞林道(雲取林道)の荒沢橋から不鮮明だがぼちぼちテープが打たれた荒沢右岸道を30分ほど行って、桂谷を渡った。なおも右岸道を少し進むと、すぐ桂谷出合に落ちる支尾根を越した。これから登る桂谷・アシ沢中間尾根は965m付近で二手に分かれ、一方が桂谷出合、他方がアシ沢出合近くに何れも急激に落ち込んでいるが、その桂谷側の支尾根がその地点であり、そこから尾根に取り付いた。場所により50度はありそうな支尾根付近の斜面を、初めは桂谷側、途中から支尾根を越えて二つの尾根の間の登れそうな場所を登り、940m付近でアシ沢出合への支尾根に乗り上げた。ここから一本調子の登りが続く。踏跡はあるようなないような状態で、尾根が痩せたり悪場が来るとやや明瞭になった。960m付近の岩稜は右を捲き、45度くらいの下草もない尾根を急登した。下りのときは谷に吸い込まれそうで怖かった辺りだ。995m付近の尾根上で「図」の文字が刻まれた旧秩父営林署39図根点の古い石柱を見ると、尾根が広がりブナやモミの大木の森となった。大部分が伐り尽くされた大洞川流域で、この尾根は国立公園の第1種特別地域として保護されていたためだろう。1050m付近は数個の小ピークが連続し、微かな踏跡で左を捲いた。1318mの小ピークで正しい尾根が一瞬消えるので、下りだと北西に出る支尾根に入りやすい。この辺から多少踏跡が見え隠れするようになる反面、二重山稜的な複雑地形が多くなった。1415mはそこから始まる長い二重山稜の下端で、二つの尾根が消えてその中央から新しい尾根が下へ出る特異な地形だった。二重山稜の谷の踏跡が歩きやい踏跡を行くと1455mでそれが終わり、崖的な急斜面を左から捲く明瞭な踏跡になった。1570~1585mの痩せ尾根を過ぎ、1600m付近に再び現れる壁を踏跡に従い左から絡んで登った。下りの時は北に向かう尾根地形を追うとダメで、崖を下る踏跡を見つける必要がある。さらに40-45度の尾根形状が消えた急勾配を薄い踏跡通りにひた登るが、下りの時はさきほど登って来たにも関わらずここを下って正しいか不安にかられた場所だ。1675mで傾斜が緩み奥秩父らしい森林に入るが、尾根が丸っこいだけにここも下りでまごついた箇所だ。踏跡は薄く、地図をチェックしながら注意深く下ることになるだろう。緩やかに森を彷徨いながら登り、1737m肩の境界見出標を見ると都県境である。なお地図的には大ダワへ捲けば近いように見えるが、密林のため尾根をたどってここまで登るのが正解。尾根地形を追うとまっすぐ芋ノ木ドッケへ登ってしまうので注意し、直角に曲がって南下すると、大ダワの約80m北に位置する「ニセ大ダワ」的な鞍部で登山道に出た。その1分後に、1702mの大ダワに立った。

 

⌚ฺ  桂谷出合-(5分)-支尾根取付-(1時間5分)-二重山稜下の1415m-(45分)-都県境の1737m肩-(5分)-大ダワ/大ダワ-(7分)-都県境の1737m肩-(1時間15分)-支尾根取付-(5分)-桂谷出合 [2022.5.15]

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浅いが容易な渡渉場所がなかった桂谷
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荒沢谷右岸道から支尾根に取り付く
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荒沢谷へ落ちるいま登ってきた急斜面
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見上げる急傾斜は45度もあろうか
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旧秩父営林署39図根点の古い石柱
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尾根が広がると自由に歩ける
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1318mピーク先の小鞍部
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二重山稜下端の1415m
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二重山稜先の崖状を踏跡が登る
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二重山稜崩れの変な地形
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1600m付近の崖にも明瞭な踏跡が
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奥秩父らしい原生林に入った
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都県境1737m肩の境界標
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大ダワすぐ北の鞍部で登山道に出た
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1分後には大ダワ