土室川本流~戸沢

 葛野川ダム下から土室川右岸道を辿り、コガツラ沢下の大堰堤の少し下流の水門上に設けられた橋の地点から入渓した。ダムの上端の少し上の地点である。そこから土室川~戸沢と遡行した。滝場やゴルジュは殆どなく、長閑な水遊びだった。

● 大堰堤下水門の橋(740M圏)~880M圏二俣(戸沢出合)

  直後の2段20Mの堰堤を踏跡で左から巻くと、右岸からコガツラ沢が出合う。平凡な河原が続き、一時伏流化する。マガリ沢を過ぎると、ややゴルジュ的渓相になり、ようやく遡行らしくなる。支流としては大きなタマナコ沢が右から出合う。
 タマナコ沢から3~4分で迎える2M滝が、魚止滝だろうか。土室川の魚止は、一丈(秩父・多摩・大菩薩、原全教)とされている。さらに、2M、1M、1Mを過ぎ、やがて唯一の核心部を迎える。土室川では唯一の、両岸から岩壁が迫りかつ河原のない地点に、2条4Mが掛かっている。幸い好天続きで水流が少なく、水は生ぬるい。右流を中央突破する。直後の2段4Mは右を絡んで軽く通過、これが実質的に土室川の全てであった。
 再び河原となり、小屋場的な平地を両岸に見る。茅ノ尾沢が左から出合うと、茅ノ尾を登る旧道入口らしきテープが右岸に見えるが、ほぼ道型は消えているように見える。車輪が沢中に落ちていたり、水中の倒木らしき棒状のものを渡って進もうとすると実はレールだったり、森林軌道の痕跡が頻繁に現れる。
 右岸の地面に置かれた県有林の195・196林班界標を確認し、広い河原を行くと、軌道跡終点の880M圏変則三俣に到着する。左から支沢が合わさった直後に、右の本沢と左の戸沢とに分かれている。

 

⌚ฺ  水門の橋-(55分)-880M圏二俣 [2013.7.13]

● 880M圏二俣(戸沢出合)~長峰1340M圏鞍部(米代下)

 変則三俣で水流は1/3に減り、もう源流近しの様相だ。伏流を通過後、傾斜が出てきて2~3Mの滝が連続するが、水路のような小流なので滝登りの感じはあまりなく、どこでも登れる。
谷が狭まり、戸沢に入って初めての滝らしい滝の4M滝を越える。水と戯れる感じで、次々と小さい滝を登っていく。
 1000M付近で谷が緩くなり、沢は広い河原で分流する。1M程度の小滝や水溜りのような釜が続き、黙々とこなして行く。1030M圏で右岸支沢を入れ暫くで、また伏流する。1070M圏で右岸から微流の窪が入り伏流に消えている。一旦水流は復活するが、1120M圏二俣でまた伏流となり、左右両方とも水がない。
 登山靴に履き替え、緩いガレ沢の左俣を登ると、流れはすぐ復活したが、靴のまま沢身を歩けるほど水量が少ないので、歩きやすい沢身を登っていく。微妙な判断だが、沢装備のままで良かったかもしれない。
 1250M付近で右岸斜面に197林班り小班のカラマツ植林表示板が見え、そこから踏跡が付いている。自然林の中にカラマツ植林の表示とは不思議だが、登山靴でだらだらと細流を追っても仕方なく、水涸も近いと見て、その踏跡に入る。踏跡は不安定かつ薄く、水平もしくは微妙に登り気味に、東に向かっている。微小な尾根筋に乗ったところで不明瞭になったので、枯死笹ヤブに覆われたその尾根上の微かな踏跡を追うと、予定通り長峰の1340M圏鞍部、すなわち米代からの傾斜した尾根と長峰の平坦部との接点となる地点に出た。

 

⌚ฺ  880M圏二俣-(50分)-沢を離れる-(15分)-長峰1340M圏鞍部 [2013.7.13]
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入渓点の橋
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穏やかな渓相土室川本流
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唯一の核心部、2条4M
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森林軌道の車輪
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落ちている県営林の林班界標
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戸沢の細い流れ