金山沢・八百谷作業道 【廃径】
昭和40年前後に使われた八百谷造林小屋への通路と思われる。硬い土と笹に守られ、今でも意外と歩きやすい部分が多い。
● [逆行区間]索道中継点(1511独標南西尾根)~滝川右岸道(1204独標尾根)
索道中継点まで往路を戻り、少し下って作業道を発見した地点に再び立った。不思議なことにその地点から金山沢の上流方向には枯死笹ヤブを切り開いた明瞭な道型があったのに、下り方向が忽然と消えていた。その地点で枯死笹ヤブが切れ、疎らな広葉樹の刷いたような斜面になっていた。笹ヤブの保護がないため長い年月の経過に伴い、流され、もしくは埋まってしまったようだった。ここで道を失った人が付けたらしいジグザグに下る薄い踏跡が見えたが、それまで極めて緩く下ってきた作業道は同じペースで斜面を横切っていたに違いないと判断した。実際それらしい微かな踏跡も見えたが、追えるほど確りしたものではなかった。自分で判断した傾斜で次の小尾根までトラバースすると、折り返し下る痕跡があった。それを辿ると、手前の小窪まで戻ってまた折り返し、同じ小尾根の下方に戻った。小さな枯死笹ヤブがあり、そこには明瞭な道型があった。小尾根を回って暫く良い道が続いたが、次の小窪で道は流され消えていた。緩く下りながらトラバースすると小さな踏跡が現れ、広葉樹の大木が点在する優しげな森に覆われた幅広い小尾根を回った。
落葉で道が見えなくなったが、その尾根を回り込み尚も緩く下っているようだった。道型はほぼ落葉に埋まっていたが、時々現れる葉の無い箇所で明瞭な道が見えた。ルートが辛うじて分かる程度の枯葉の斜面の緩い下りのトラバースが続いた。踏跡は不安定で時に枝分かれしているので、見通しの悪い登りでは道筋を掴むのがかなり難しいだろう。やがて1204独標尾根の左に沿って下るようになり、独標付近で尾根に乗った。緩く広い尾根上で、踏跡は完全に消えてしまった。数分下って植林地が見えてくると、滝川右岸道であった。
⌚ฺ 索道中継点-(25分)-滝川右岸道(1204独標尾根) [2015.10.25]
● 索道中継点~金山沢逆U字屈曲箇所への下降路分岐
1511独標南西尾根を回り金山沢右岸に入ると、森の様相が変化した。石や岩が多い急斜面を比較的小さな木々と枯死笹ヤブが覆っていた。作業道は小刻みに上下しながらそれらをかわし、ほぼ水平に続いていた。いつもミョウキ尾根や唐松尾北尾根から見下ろしていた八百尾根が、金山沢を挟んで高く見えるのも新鮮だった。数分後にはもう、2週間前に上流側から来た金山沢逆U字屈曲箇所への下降点に到着した。最近は、特段の強い必要性がない限り、山中で目障りでゴミにもなるマーキングのテープは付けない様にしているので、前回来た位置であると確認するのが意外と一苦労である。今回は尾根を回ったすぐ先の特徴的な露岩と、その先を試しに数分歩いた感触とで間違いないと判断した。2週間で紅葉が進み、夏の残像がすっかり影を潜め黄色い葉が目立つようになっていた。
⌚ฺ 索道中継点-(5分)-金山沢逆U字屈曲箇所への下降路分岐 [2015.10.25]
● 金山沢1230MのU字屈曲への下降路分岐~八百尾根(1550M圏)
念のため確認しに行った隣の小尾根から昨年下った小尾根に戻って見ると、行きと少し違う地点に着いた。少しでも良い踏跡を発見すべく、完全に同じ道筋を辿ろうとせず、良く踏まれる方へと足を進めた結果であった。この踏跡の方が、行きに来たのより良く踏まれていて、昨年下った小尾根を回る地点での道型もより明瞭であった。その踏跡を上流側へ戻るように辿ると、行きの経路より少し高い位置を一定ペースで緩く登りながら続いていた。道はやや荒れてはいたが明瞭で、右岸の急傾斜の上部を高巻くように付いていたことから、間違いなく林道のようだった。
1380M圏まで登ると水平になり、枯死笹ヤブを行く明瞭な道となった。歩きやすい部分が多かったが、行きに通った小屋跡付近に落ちる小沢を回る辺りは、崩壊でほぼ消滅していた。そこを適当に通過すると道が復活した。遙か下方に沢音を聞くのみの金山沢が急速に接近し、流れがはっきり見えるようになった頃、礫崩壊で道が見えなくなった。すぐ前が右岸の段丘地形になっていて、崩礫帯の通過や沢への下降はは容易だが、方向が分からなくなった。微かな踏跡を拾って下りて見ると、そこは行きに通過した金山沢1380M圏の渡河点であった。沢沿いに行くか水平に行くか、迷った地点であった。
渡河後、道型の無いまま行きと逆方向に左岸の段丘状の森を登った。金山沢は、谷沿いはある程度伐られず残ったらしく、古びた大木が散在する雰囲気のいい森だった。1410M二股を右股に、続く1440Mも右股を取った。行きは1440M二股まで急降下したが、林道の自然な付き方からすれば、右股の左岸を辿ってから山腹に取り付くに違いなかった。河岸にはヒントになる踏跡は殆んど見られなかった。右股左岸を少し遡った1450M圏のあたりで、折り返すように右の斜面に取り付く細く不明瞭な踏跡があった。それに入ると、やはり程なく行きに通ったらしい場所に出たが、踏跡が乱れており確証が持てなかった。斜めに登って続く崩礫帯に入るも、行きに見たとおりここにも踏跡がない。尾根から伸びてきたかのような露岩の下端を通過する場所があり、それが良い目印となった。そこから行きに下ったと同じペースで登り返すと、崩礫帯が終わる地点で、無事林道の踏跡を発見した。緩く登ると徐々に踏跡が道型になり、八百尾根の横断点に帰り着いた。
⌚ฺ 金山沢1230MのU字屈曲への下降路分岐-(25分)-金山沢-(25分)-八百尾根(1550M圏) [2015.3.30]
● [逆行区間]八百谷作業小屋跡~八百尾根(1550M圏)
八百尾根への作業道は小屋裏の礫崩壊のため消えており、二、三〇米上の礫崩壊が終わる地点で初めて踏跡が現れた。斜めに登って大崩壊上端で右岸尾根を乗越し、尾根を一、二分登って、道は左に水平に切れた。尾根を行く踏跡もあるので、うっかり見落としてしまい、軌道修正して正規道に戻った。ここまでは以前通っているが、小沢を渡りその右岸尾根に取り付く辺りが不明瞭で、前回分からなかった場所だった。道は水平に進んで、小沢の二股の右股、左股と渡った。左股はゴーロ状で、どこで渡るか、渡った後どちらへ行くのか、さっぱり分からなかった。とにかく渡って様子を見ながら右岸の斜面を登ってみた。崩れやすい土石を攀じ登ると予想通り斜上する踏跡に出合った。道は沢のゴーロを進み、折り返して左の山腹に折返していた。小尾根をさらに電光型に登る部分も踏跡が分散し、真の経路が不明になっていた。
道が水平になる1550M圏で、漸く道が明らかに認識できるようになった。二次林中の枯れかかった笹を行く水平道は幾筋かに分かれ、地形が緩くなる1516独標尾根を越える辺りは特に不明稜だった。尾根上に踏跡があるため、1560~1590Mのどこで越えるのか踏跡が多く判断が付かなかった。崩壊気味の小窪を二本越えるところも、渡る場所が複数できており判断に迷った。ヤブや潅木が煩くなると、すぐ八百尾根に乗った。明瞭な尾根道と水平道とが十字路を形成しており、平坦な尾根上は舟形地形を呈していた。
⌚ฺ 八百谷作業小屋跡-(1時間)-八百尾根(1550M圏) [2015.10.10]
【林道途中へのアクセスルート】(確認済みのもの)
- 八百尾根道