尾名手川本沢
水流は少ないが、河原が狭く、意外と時間が掛かる沢。帰路となる峠道は峠周辺が悪いが、遡行終了点から腰掛までは辛うじて使える。
● 腰掛~尾名手峠道960M圏
腰掛集落奥の巨大堰堤上から入渓。入渓地点へは左岸フェンス沿いのヤブを分けて入ったが、峠道を少し登り眼下の堰堤目指して下った方が、結局早かったようだ。
峠道は、腰掛集落から鶴川左岸を少し遡上し、鶴川を白い橋で渡って鶴川右岸を少し下り、人家(地形図位置は間違い)手前の敷地境界を右に入る。
始めは平凡な河原が続く。小ゴルジュ(540M)の2M滝は手がかりがない。巻きも容易だが、面倒なので右上から垂れるお助けロープに頼って越す。直後の釜は右岸の岩に危なっかしい巻き用のお助けロープがあるが、左岸のへつりで軽くクリアできる。
鮮やかな自然林の緑に気分はよいが、渓相は到って平凡で何もない。590Mで右岸にスバノ沢が入る。この先から山腹に植林が多くなり、時には岸まで到達するが、沢筋だけ自然林が残っているところもあり、それほど暗い感じはない。
左岸のピンクテープで尾名手峠登山道からの道が降りてきてすぐ、640Mで右岸から1:3で白矢ノ沢が入る。谷は相変わらず広く明るい。680Mの流れが二手に分かれた部分で、左手の分流にトバノ沢が出合う。
大滝沢が出合うあたりから、谷が狭まりようやく沢歩きの雰囲気になってくる。3M前後の滝が連続して掛かり、全て登れるので楽しい。4MのCSは難しいシャワークライムになりそうなので、左から巻いた。
左から低い植林の平地が張り出した直後、800Mで大寺山から来る支沢が左岸に入る。その1分後、真ん中に桂の大木が立つ810M二俣で1:1に分かれ、その2本は暫くわずかの間隔を保ちながら並行に流れる。近刊の「東京起点沢登りルート120」では左俣を遡るが、右俣が本沢なのでそれを行く。二俣の中間尾根(830M圏)には、炭焼き釜が原型のまま残っている。
約10分後に現れる、5段10M滝は簡単に登れる。続く10M幅広滝は、傾斜がやや緩く水量も少ないので直登可能そうだが、登挙具不使用なので念のため巻いた。右の急傾斜に踏跡といえぬ程度の形跡がありそれを登るが、岩勝ちな斜面が続いて降りられず、続く6M、3M(高さは巻きのとき見た印象で判断)も一緒に巻いてしまった。920M圏二俣(1:1)の直前で沢に戻る。尾名手大ダルミから来る右俣を見送り、左俣の本流を行く。
かなり細い流れの2段4Mを登り、トイ状の沢筋を進み、緩い7M滝を越えると、急に流れが緩やかになる。目の前に苔むした雰囲気のいい谷が広がっている。若干のゴミや、石組みが見られ、人の気配のする場所だ。細目の木の幹に巻かれた赤テープが2ヶ所にあり、沢の左岸を下流に向かう、尾名手峠から腰掛への登山道が見える。水流は今にも消えそうになっているので遡行を終了した。