船越尾根道 【仕事径】

 丹波川から丹波大菩薩道の追分へ登る、古い水源巡視道。昭和6年のガイドブック付図[1]に初めて現れ、同12年に岩根常太郎により雑誌に紹介された[2]。だが青梅街道の三条新橋が登山口として不便であるためか、登山者の利用は少なかったと見られる。この地区の作業道を徹底的に解説している松浦氏が、平成24年にガイドに記載した。

● 三条新橋~追分

 三条新橋を発ってすぐ、「逆川向」標柱先から下る踏跡を辿り、泉水谷を簡易木橋で渡ると、旧青梅街道らしき道型に出る。右折し100メートルほど進むと逆川に出るので、その右岸を登る。目印はないが、地形を抑えていれば道はハッキリしていて迷うことはない。
 左手の尾根の方に上がる道を分けた後、木橋で逆川の左岸に移り、なおも登る。920M圏二俣は右股を取り、水の消えた沢を詰めると、1030M圏付近で沢の遡上は終わる。
 ここで1021M峰方向からの道を左から合わせ、いったん右手の植林帯をジグザグに高度を稼いだあと、砥沢(トノサワ)山(1458M)から新三条橋に下る尾根の西斜面をほぼ同じ傾斜で緩く上っていく。
 54/55林班界標付近だったと思うが植林地は終わり、この先、泉水十文字に近づくまで、ずっと美しい自然林が続く。緩斜面でいちど尾根上に乗り、再び尾根の右手から砥沢山を巻き、砥沢山の南鞍部にあたる53/56林班界標で、薄い踏跡のついた舟越尾根に乗る。
 サカリ山の北東面を水平に巻く良い道が追分まで続いている。

 

⌚ฺ  三条新橋-(1時間20分)-砥ノ沢山南鞍部-(35分)-追分 [2010.4.25, 2010.7.18]
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逆川を登る
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船越尾根に乗った辺り
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春の日差しの中で山葵谷山の自然林を巻く

 

[1]菅沼達太郎『奥多摩東京近郊の山と渓』山と渓谷社、昭和六年、一〇一頁。
[2]岩根常太郎「丹波山から大菩薩まで」(『山と渓谷』四三号、五四~五九頁)、昭和十二年。
[3]松浦隆康『バリエーションハイキング』新ハイキング社、平成二十四年、ニ五ニ~ニ五四頁。