寺沢林道 【廃径】

 一般登山道で使用される下部は全く問題ないが、廃道部分は消滅に瀕している。経路を把握に幾度も往復し捜索を重ねた。その部分の通行には、所要時間の数倍を要するだろう。そんな中にも、蝉笹山東の小尾根を巻く辺りで、一瞬道型がよく残り桟橋が残った部分があるのが面白い。
 一般登山道部分のうち、秩父中央林道の日野コース入口道標から笹平までの区間は割愛し、通行しなかった。

●日野水源林道合流点(8空中図根点の平の数分上)~惣屋敷尾根(4空中図根点)

 良い道はそのまま四林班平へ下り日野造林休憩所または秩父林道へと続いているが、良く見ると鏡岩の地点から、岩の上を水平に行く痕跡があった。シアン谷の北側の旧林道は国有林図に記入されているのだが、やはりこの辺りから水平になり再度登る道筋を示していた。
 ここでは分かりやすさのため要領よく進んだように書いたが、実は四林班平上端の長い崩礫帯で道は完全に消えているためルート把握に難儀し、ここから総屋敷尾根まで偵察で一往復のうえ再度登っている、つまり四林班平から総屋敷尾根の区間を3回歩いている。
 崩礫中の水平な気配を辿るが、複数あるうえそもそも痕跡であるかも分からぬ曖昧なものだった。良く見ると森の中に壊れた炭焼窯跡が点在していた。むしろ機械的に水平を保ちつつ進んでいたという方が正しいかもしれなかった。蝉笹山(1440M圏峰)下で覆い被さってくる幾つもの岩壁のような大岩の下を通る辺りから崩礫帯が終わり、道が見えるようになってきた。標高差で約三十米登り、岩の根元を通過すると自然林を少し水平に進み、微小尾根回ると古い桟橋があった。また少し登って小崩壊を過ぎ、すぐ微小窪となった。左岸は岩勝ちで続く道型が失われていたが、上に10Mほど登った自然林で道が復活した。まずまず判別できる踏跡が、小尾根と小窪の細かい凹凸をなぞるなぞりながら緩く登っていた。尾根上の岩峰を巻いてきた宗屋敷尾根道が合流すると、すぐ宗屋敷尾根上の4空中図根点であった。宗屋敷尾根道が尾根の南を巻く僅かな部分は道が共有され、状態がよかった。図根点石標の傍らに古い木製の2/4林班界標の角柱が立っていた。

 

⌚ฺ  日野水源林道合流点-(20分)-惣屋敷尾根 [2015.7.4]

●惣屋敷尾根(4空中図根点)~谷津川林道分岐

 眼前の小尾根までトラバースで下り、空中図根点下の谷へと折り返し戻り、谷の右端で折り返し、先の「眼前の小尾根」の大岩下を通過し、そのまま次の窪に達するとまた折り返して戻り、また「眼前の小尾根」に戻ると折り返し、やがて1180M圏で緩斜面の大植林帯に入っていった。この間一部に小さな植林があったが、殆んどが自然林の斜め下りだった。
 4ヶ月前はこの真っ暗な植林地を薄い踏跡を追って水平に進んだが、今回は国有林図が示す登り方向の踏跡に注意しながら進んだ。唯一の水平踏跡から分かれる顕著な踏跡は見当たらず、いったん中川作業員合宿所跡へ下る林道(一般登山道の「日野コース」として知られる良道)まで適当に登り上げた。この良道を山頂に向かって斜めに登ると、寺沢源頭に最も近づいた1280M付近でV字型に折り返した。誤っての直進を防ぐ黄テープが張られ、直進方向は微かな踏跡になっていた。位置的に、国有林図が示す林道に間違いなかった。
 大植林帯に入った地点から水平踏跡を約100M進んだ辺りで捨て、弱い窪状地形に沿って登った。傾斜が強まると右にずれながら登り、主のような木をその上に冠した大岩が上下方向に一列に並ぶ特徴的な光景を通った。一番大きな岩には立派なクヌギか何かの大木が乗っていた。一様で変化ない植林の斜面でよいランドマークであった。傾斜を増した植林斜面を弱い窪状地形に沿って頑張って登ると、先の黄テープ付近で「日野コース」の林道に出た。当てにするほどの道型は残っていなかった。

 

⌚ฺ  惣屋敷尾根-(25分)-谷津川林道分岐 [2015.11.3]

● [逆行区間]笹平~谷津川林道分岐

 笹平から植林地を緩く登り、岩稜となった熊倉山東尾根をよじ登るように越え、なお植林を進む。数分先の折り返し点で黄テープが張られた付近で、寺沢林道は登山道を見送りいったん下り始めるが、黄テープ先に続くのはただの作業道であり、林道は道型が消えてしまい分岐点は不明確だ。さらに続く登山道は谷津川林道の一部である。

 

⌚ฺ  笹平-(15分)-谷津川林道分岐 [2015.7.4]

【林道途中へのアクセスルート】(確認済みのもの)

  • 宗屋敷尾根の踏跡(8空中図根点)

 

150704_p10.jpg
日野水源林道合流点の鏡のような岩
150704_p12.jpg
付近の壊れた炭焼釜跡
151103_p06.jpg
宗屋敷尾根の4空中図根点の石標
151103_p07.jpg
珍しくまだ読み取れる旧式の林班界標
151103_p08.jpg
寺沢源頭への下降路は道型も薄い
151103_p09.jpg
大岩下を通過する
151103_p10.jpg
緩斜面の大植林地を行く林道桟橋の残骸
151103_p11.jpg
黄テープで日野コースに出合う
150704_p17.jpg
寺沢からの「日野コース」に出た