小黒ノ沢(ワサビ沢)
手頃な登挙の楽しさと苔むした谷の環境が思った以上に良く、個人的には、滝と渓流美の本流よりも楽しめた。
● 小黒ノ沢出合~水涸れ地点
出合の3段8Mは直登できそうだが強烈な全身浴必至のため右から巻く。続いて現れる7Mも右から巻き、川浦谷林道の傾いた桟橋を潜る。
3M程度の小滝を幾つか超え、940M圏で左から涸窪を入れると、10M直瀑。涸窪との中間尾根から容易に巻けた。少し先に、1M+1M+3M+3M+3M+8Mのミニゴルジュ。一つ目の3Mは全身水を被れば突破できそうだが、嫌って左に逃げたところ、沢身に懸垂するしかない。その先突破の見通しも立たないため、ゴルジュ下まで戻り、纏めて右巻き。巻きは容易。
川浦谷本谷~小黒ノ沢遡行図 (クリックで拡大) |
4M、続いて3Mを越え、大シオジが堂々と鎮座する雰囲気の良い990M圏二俣。数分進むと、存在感がある2段16Mの大滝(←仮称です)。下段の12M3条は右チムニー(滝跡?)を楽に登り、上段4Mは巻き気味に左を登った。
しばらく2~3M滝が続く。両岸は岩が切り立ち、ややゴルジュ的な雰囲気、苔むした谷が美しい。数分で、15M白布ノ滝(←これも仮称)が現れる。陽の光を浴びた滝は、たおやかな白く薄いうねりとなって岩肌を包むように落ちている。まるで芸術作品を見ているかのようで、しばし見とれてしまった。マイナスイオンの霧が充満し、夏の暑さを全く感じぬと同時に、生気が溢れてきた気分だ。登挙のエキスパートでない私は迷わず右を巻く。上方の植林まで登り上げ、続く5M、3Mの小白布的なのっぺりした滝もまとめて巻いた。
白布ノ滝を過ぎると水量が減り、次々と現れる2~3M滝は全て直登。3M+3Mのミニゴルジュがやや渋く、巻きの途中から岩をトラバースし、滝上に出られるが、疲労が蓄積しつつあり敢えてリスクを取る理由もなく、右の植林まで大高巻きで越える。最後のスラブ的3Mを直登すると、ヒノキ植林が左岸に迫り、1180M圏で作業道に出合う。左岸植林から来る作業道は沢を渡らず終わっているため、遡行方向からは見えず、振り向いた下向きで発見できる。
遡行的興味はここまでだが、源頭の美しい光景も眺めようと、さらに進む。苔むした緑の谷は、広く、緩くなり、源流の様相だ。水流は、水と戯れる程度まで減り、1240M圏で伏流となった。昨年、小黒から下り着いたのが、ちょうどこの地点だ。
登山靴に履き替え少し進むと、水汲みすら難しいほど細い流れが戻る。1310M圏で横切る、川浦谷左岸中腹旧道を見逃さぬよう気をつけて進み、左岸に微かな道型を発見したので、遡行を終了する。