飛龍山東面林道 【廃径】

 全線が廃道化しており、通行困難である。さらに北天ノタル近くの悪谷1410M出合支沢を渡る桟橋が落ちているが、回避ルートはない。

●竿裏峠~権現谷渡沢点

 サオラ峠は天平尾根の上でなく南面にあるので、いったん三条の湯への道を取り、僅かに登って尾根を越す。初めは水平な道が、200M進んで三条の湯へと緩く下り始める辺り、そのまま水平に進む踏跡が飛龍山東面林道だ。初めは三条の湯への林道の数メートルの間隔で平行に進むが、三条の湯の道が下るに従い徐々に見えなくなる。この林道は、自然林の緩やかな尾根の右寄りを、あくまでも水平に行く。
 当初、落葉と倒木とでやや不明瞭だった林道は、トラバースする斜面の斜度が増してくると、明瞭になる。ほぼ水平なので、多少の倒木やヤブに目を瞑れば、とても歩きやすく、道型は明瞭だ。
 30分も行くと枯死笹ヤブ、倒木、落下した枝で歩きにくくなる。しかし道は依然としてはっきりしている。熊倉山の直下で、カラマツ植林に入る。一瞬道がよくなり、間伐したのか、切株も幾つか見られる。
 この先、枯死笹ヤブが酷くなり、折りながら道を開拓して進む。道型が明瞭なのにもどかしい感じだ。もっとも、一度折れば生えてこないわけだから、今後の通行はだいぶ楽だろう。
 斜度がある部分は石垣のように林道が整備されており、かなり古い道なのに大変安定している。枯死笹ヤブに倒木が加わり、酷く荒廃してくると、それを避けて新たな踏跡がつけられている。廃道になった後、まだ笹ヤブが枯れていない時代に、通行者がつけた踏跡のようだ。
 前のカラマツ植林から約30分で、次のカラマツ植林に入る。前飛竜の南東、ミサカ尾根1710M圏の平頂から東に落ちる尾根の辺りだ。植林内の尾根上を踏跡が登ってきている。この辺も、道が不明になるほど枯死笹ヤブが酷いが、掃除しておいたので多少分かりやすくなっているはずだ。
 20分で沢音が近づいてきて、水平にいく林道は、ミタケ沢渡沢点にさし掛かる。右岸の桟橋の崩壊した残骸が散らばり道型が消えているが、技術的な困難はない。沢のなだらかな部分を容易に渡ると、対岸には明瞭な道型が続いている。
 すぐに崩壊気味の支窪を注意して渡ると、再び激しい枯死笹ヤブ帯を、追って開拓しながら進む。この辺も、次の通行者はだいぶましになっているはずだ。やがて長尾根の緩やかな部分を回る。尾根上には登ってくる踏跡があった。
 初めてツガが現れ、秩父らしい落ち着いた森になる。道も歩きやすい。斜度がある部分では、殆どの桟橋が落ちているが、脇を簡単に通過する。
 権現谷の支沢で、飛龍と前飛竜の鞍部に突き上げるコケ谷が近づいてくる。右岸が長い岩壁になっていて桟橋の残骸らしい丸太が散乱している。かつてこの部分に、連続して桟橋が掛かっていたようだ。実質的に林道は岩壁に行き詰まり消滅したような格好になっている。ヤブのないすっきりした森の急斜面を沢まで下降すると、谷は広く歩きやすい。僅かに登った1600M圏はすぐ下が二俣状で左から涸沢を入れている。水平な林道の続きがあると予測される高さまで、右の本谷を少し登ると、簡単に続きが見つかった。
 再びツガの美しい森になり、歩きやすい。コケ谷・権現谷中間尾根で、谷側に突き出た大岩の脇を通過する。見事だったであろう岩の上の大木が、無残な切株となって名残を留めている。荒れてはいるが道型が明瞭で利用しやすいのは、おおよそこの辺りまで、この先は、道を探しながらの廃道歩きとなる。
 腰程度の笹ヤブ帯が始まり、倒木、張り出した低木の枝、急傾斜地も加わり、道型は不鮮明、速度が急速に低下する。薄い道型と、落下桟橋で、ルートを確認しながら慎重に進む。大岩から十数分、緩やかな部分で権現谷を渡る。流れは細く、遡行図(「奥多摩大菩薩高尾の谷123ルート」による)で最後の滝が終わり、水が涸れるとされる直前辺りだろう。渡沢部は道が薄く、遡行時は気づき難いと思われる(白テープを設置)。

 

⌚ฺ  竿裏峠-(1時間40分)-長尾根-(50分)-権現谷渡沢点 [2013.10.6]

●権現谷渡沢点~悪谷1410M出合支沢右岸

 この区間は荒廃極まり、笹ヤブ酷く、道はあって無きが如し、特段の理由なく進まぬことをお勧めします。将来、一帯の笹が全て枯れれば通行可能になるかもしれません。
 権現谷を出て直後は、落ち着いた広葉樹の斜面を行くが、権現谷・悪谷中間尾根の南面を回る辺りで、猛烈な笹ヤブ帯に突入する。道型は明瞭だが、あまりにも笹が繁茂密生し、稲藁の束のような状態になり、重みで道の上40~50cmの高さに被さっている。動かすことも掻き分けることもできず、真っ暗な笹のトンネルを匍匐前進で進むしか方法がない。手とヒザを付きながら進むものの、林道が手入れされていた時代の笹の切株が刺さって痛い。時々笹のトンネルの隙間ができると、空気が吸いたくて立ち上がる。周りは一面、丈を越える笹の海、なすすべもなく、またトンネルに戻る。笹は斜面と平行に生えているので、上下方向の移動は多少ましだろうが、このトンネルを使わない限り、水平移動は不可能である。約15分後、猛烈な生きた笹ヤブは、密度をそのままに枯死笹ヤブ帯に変わった。
 枯死笹ヤブも激しさは変わらないが、両手をいっぱい広げて抱え込んだ枯死笹ヤブを一気に折って、道を開拓していく。前に進める分だけましという他ない。
 うっすらと笹の中に踏跡がある権現谷・悪谷中間尾根を回ると、笹の勢いが回復してきた。数分進むと、また踏跡が上がってくる。落下桟橋を過ぎると、再び猛烈な笹ヤブ帯が始まった。今度は道型がはっきりしない。突入を躊躇して見回すと、数十メートル上に岩壁があり、うすい踏跡がそれに向かって登っている。笹ヤブを高巻いているのか?断続的な巻きの踏跡は、きっちり岩壁間際まで登って、境目の薄ヤブを通過していた。ヤブのない次の小さな窪を適当に下って、林道の高さまで戻る。林道の道型自体が不明瞭だが、何とか水平に進む痕跡を見つけた。約10分の高巻きだった。
 急斜面をトラバースする、すっかりあやふやになった林道の痕跡を、注意しながら自信無げに追っていくが、時々朽ちた桟橋があるのでそれと分かる。
 急峻な沢が滝を掛けながら、上がってきた。飛龍山の山頂北部に突き上げる、悪谷の1360M右岸支沢だ。滝の上の緩くなった清流を、標高1690M付近で労せずして渡った。
 続いて悪谷の1410M右岸支沢が近づくが、この辺りでは林道の道型は殆ど消えており、微かな痕跡を拾いながら進む。悪谷1410M右岸支沢は、上から覗くとなかなかの険谷で、両岸が切り立った岩壁のまま、飛龍山と三ツ岩(烏帽子岩)のコルに向かって、岩壁のツメとなって一直線に突き上げている。
 林道はこれをどうやって渡るのだろうか。道は針葉樹とシャクナゲの森にほぼ消えているが、時々、桟橋の腐った丸太が残っているのでルートは推定できる。谷の1400M二俣上の左岸の岩壁上で最後の丸太があるので、その先は岩壁を下っているに違いない。覗き込むと、下れなくもない危ないバンド状がある。丸太の残骸もあることから、ここに人工的な架け橋を設置し谷へ下っていたと思われる。技術的には遡行時の高巻きからの復帰レベルなので、パーティーを組んで懸垂して下るには問題ないが、丸腰のまま単独で下るにはリスクが高い。対岸も見たところ似た感じの岩壁になっており、土が乗るバンド状に、丸太の残骸らしきものが遠望できる。谷に降りたが最後、出られなくなる可能性も捨てきれない。さらにその先には、道型らしき不自然な地形が見えている。

 

⌚ฺ  権現谷渡沢点-(1時間25分)-悪谷1410M出合支沢右岸 [2013.10.6]

●悪谷1410M出合支沢左岸~北天ノタル

 悪谷1410M出合支沢は渡沢不能であり、現状では左岸に達するためには、水源林道に上がり、北天ノタルを経て下ってくる必要がある。沢に沿う黒木の左岸尾根を離れ、笹原の弱い踏跡を緩く登った。地図に載らない微小窪や小尾根が現れ、実際の地形は意外と複雑だった。上から迫る露岩に妨げられ、弱い踏跡に従い自ずと1780M近辺の笹原をトラバースした。岩が上へ退くのに合わせ、笹との境目を1800M付近まで高度を上げた。北天ノタル下の幾つにも枝分かれした抉れた窪を、次々と水平に渡った。何とか踏跡は続いており、行きに下ってきた時より下方であるため、多少楽に渡ることが出来た。各支窪の両岸は多少削れているが、特別難しい箇所もなく渡れた。
 全ての窪の分脈を渡り終わった所は、北天ノタル直下の窪の左岸に当たり、凹凸のない山腹の広い笹原になっていた。踏跡は分散して不明瞭になったが、笹原を登る気配が感じられた。登り出すと、何とか追える程度の踏跡ないしは痕跡が明滅しているのが分かった。笹の中の小松林の通過時には明確に踏跡が認められた。北天ノタルが近づくと、深さを増した笹を右上に登り、すぐ北天林道に飛び出した。北天ノタルから100Mほど下った辺りで道を半分塞いで立つ太い木から、距離にして約30Mを下った地点であった。深笹のため北天林道からこの踏跡の入口を認識するのはかなり難しそうに見えた。

 

⌚ฺ  悪谷1410M出合支沢左岸-(45分)-北天ノタル [2016.5.6]

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ミサカ尾根に沿って広葉樹の水平道が続く
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熊倉山直下の1つ目のカラマツ植林
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石組みに支えられ安定した道型
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酷い枯死笹ヤブを折りつつ進む
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ミタケ沢手前の2つめのカラマツ植林地
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渡沢部流出のミタケ沢(通過容易)
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遡行時の目印(小さすぎて分からないか)
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広葉樹の下の枯死笹ヤブ帯で長尾根を回る
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朽ちた桟橋が目に付きだす
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コケ谷右岸岩壁の長い桟橋が消え谷を行く
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コケ谷・権現谷中間尾根、この先極悪路
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腰程度の笹の中、露岩を縫うルートの気配
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権現谷右岸の微かな林道痕跡
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権現谷源流の細流を渡る
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落ち着いた森ではまだ道型が明瞭
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石垣補強も原形をとどめている
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匍匐前進で進む低く暗い猛笹ヤブトンネル
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猛笹ヤブの枯死帯は、抱え折って切り開く
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開拓後はスッキリ
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>三ツ岩方面が垣間見える
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悪谷流域に入ると殆ど道型も消える
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急峻な悪谷の1360M右岸支沢の滝
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滝上の緩い部分をうまく通過
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まだ道型の残る部分も
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桟橋の残骸のみがルートの存在を告げる
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下降不能な悪谷1410M出合支沢を見下ろす
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ここで道型も曖昧になり行き詰った
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悪谷1410M出合支沢の左岸に回った
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覗いても下が見えない恐ろしい落差
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急流を壁になる前の低い位置で渡る
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北天ノタルから出る窪を右岸へ渡る
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笹原を急登する薄い踏跡になった
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北天林道まで辛うじて続く踏跡