烏帽子谷林道 【廃径】

 烏帽子谷林道は、日野造林休憩所から烏帽子谷の左岸を絡んで登り、笹頭で矢岳山稜を越え、立橋下の27空中図根点で大久保谷の旧13林班から上がってきた水源林道に接続する道である。区間により状況が全く異なっていて、日野造林休憩所の裏から710M付近の車道(秩父林道)横断点までは、まだ歩いたことがないが国有林図に見るように作業道として残存していると見られ、そこから車道終点までは車道建設で酷く寸断されている。車道終点に立派な道標があり、笹頭までは矢岳への一般登山道の一部となっている。すぐ先の赤岩ノ頭東尾根までは何とか通れるが、そこから大久保水源林道合流までは風前の灯だ。

● [逆行区間]秩父林道終点~710M付近車道(秩父林道)横断点

 車道の屈曲部をショートカットする形で使えなくもないが、単なる時間短絡目的なら不明瞭な烏帽子谷林道を探しながら下るより、植林地を適当に下った方が圧倒的に早いので、実質的な利用価値は全くない。
 950M、900M、820Mで一時道型を見るが、800~700Mの植林地では径の痕跡はほぼ消えていた。

 

⌚ฺ  秩父林道終点-(20分)-710M付近車道(秩父林道)横断点 [2012.9.9、一部は2012.9.16]

● [逆行区間]赤岩ノ頭下~秩父林道終点

 赤岩ノ頭下の東尾根から暗いヒノキ植林の中に、歩きやすい巻き道が北行している。それに入ると2分で、古い道標のある矢岳尾根の乗越だ。
 乗越から川浦谷側にうつり、1分進んだ小尾根上に、文字がかすれてよく読めない白い棒状の道標がある。ここは、矢岳の西側を絡んで日野造林休憩所まで続く古い作業道の分岐だ。烏帽子谷林道は、戻るように折り返す。
 ここから林道は、烏帽子谷源流の見事な自然林の中をゆっくり下って行く。植林に覆われた矢岳に、これだけ立派な森が残っていたことに驚かされる。
 水流がはっきりするころに辺りは植林地となり、山道は、植林作業の残骸の廃林道に変わる。谷を渡ってなおも下ると、秩父林道の終点付近に出る。地味な道標がポツンと立っている。

 

⌚ฺ  赤岩ノ頭下-(40分)-秩父林道終点 [2012.9.9]

●赤岩ノ頭下~大久保水源林道合流(27空中図根点)

 赤岩ノ頭(1448独標)から西に出る尾根上の狭い荒廃した伐採跡で一時不明瞭になったが、すぐ自然林に入り道型が見えるようになった。ただし長らく手入れがされていない雰囲気で、あくまでも廃道となった林道の残骸に過ぎなかった。小さな植林を通過し自然林に戻ると、崩壊で道が流されていた。慎重に通過し、露岩を縫いつつ薄くなった道型を辿ると、岩の窪で道が途切れた。数メートル先の対岸まで往時は桟橋が渡してあったのだろうが、下巻きして下りられるところを探して通過した。しばらくの間、道型は消え気の許せない岩場が続いたが、かつて林道が通っていただけあって、よく探せば通れる場所があった。
 すぐ地形図に雨裂記号があるやや幅広の崩壊に出くわした。少し緊張するが抉れは深くなく踏跡もあった。自然林を快調に数分進むと、山は徐々に岩壁の様相を帯びてきて、牛首直下まで難所が続いた。乗越すように下る岩があった。二メートルほどの高さを慎重にぶら下がって降りた。ここもかつては梯子がかかっていたのではなかろうか。よく見ると岩の左側にスタンスから無理せず通過する方法もあった。地形図の岩記号がある大岩の下通過した。左下から微小尾根を登ってくる細道があり、27空中図根点の石標「秩空二七」が埋められていた。ここで合流した道が大久保から登ってきた旧林道であった。

 

⌚ฺ  赤岩ノ頭下-(30分)-大久保水源林道合流 [2012.9.5]

【林道途中へのアクセスルート】(確認済みのもの)

  • 車道(秩父林道)
  • 矢岳登山道(笹頭)

 

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車道から見る烏帽子岩
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笹頭の古道標
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道型が薄くなった部分も多い
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崩壊箇所が時々現れ慎重に渡る
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岩地を巧みに縫う林道