お気に入りの場所

 お決まりの休場

 皆さんは、何度も同じコースを歩いていると、お気に入りの場所が出来てくることがありますか。
 私も、そこを通ると何となく休みたくなる好きな場所が幾つかあります。それは、ミョウキ尾根1690M圏の岩場。どこから歩いてきても、ここで一息つきたくなる理由があります。
 第一に眺望が良いこと。大きな和名倉山、唐松尾~笠取山に掛けての稜線に抱かれて、滝川谷の深い渓谷に堤の様に突き出した尾根上の一点。見渡す限り誰もいない(であろう)広大な滝川源流部の空間。どこからも隔離された静寂の地でありながら、周囲一面は伐採跡と造林地で、散らばるワイヤーや廃棄物に僅かな人の匂いが感じられます。第二に経路としての緊張感が途切れる具体的な理由があること。八百谷造林小屋跡からミョウキ尾根を登ってきたときは、長い登りも何とか半分は越えたなと安心感、バラトヤ林道を下るときには神経を使う西仙波からの下りが終わり、その先に待ち受ける苦難を前にしての心身の調整、何にしてもここが一つの区切りの場所になるのです。

 

 最近甲州荒川左岸の支流を歩く機会が増え、お気に入りが幾つか増えました。桜沢の1900M付近は、右岸がカラマツ、左岸がシラベの植林地ですが自然林に比べ右岸側から適度な陽光が入るため沢石に見事に苔が生育し、水と苔の楽園になっています。下アコウ沢も地形図に記載がありませんが、1890~1930m辺りは美しい湿原帯になっていて、初夏ならクリンソウやミヤマバイケイソウが咲き誇っています。そういった普通の湿地帯も大変素晴らしいですが、その上部の下アコウ沢1940M付近は崩壊跡らしい斜面に疎らに植林されたカラマツが立ち、小さな流れがある斜面は苔の付いた丸石で覆われています。陽が差したときの黄色い輝きはとても印象的です。


 他には、松尾尾根の1595独標の展望の良い岩の上通り尾根のブドウ沢に下る道がついた支尾根1760M圏の倒木のため開けた草地など。